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会長挨拶

成田善孝

第37回日本脳神経外科コングレス総会を2017年5月11日(木)~5月14日(日)にパシフィコ横浜で開催いたします。これまではプレコングレスセミナー1日+総会3日間という形式で行われてきましたが、スポンサー企業から、プレコングレスと総会は違うものなのかという質問が寄せられました。そこでプレコングレスという言葉は用いずに、内容はこれまで通り、初日に様々なハンズオンセミナーと3D手術ビデオセミナーからなる実践コース1日と、3日間のプレナリーセッションと各種講演からなる4日間をコングレス全体の会期といたしました。

日本脳神経外科コングレスは、脳神経外科医の生涯教育と科学的研究による脳神経外科学の進歩を通して、国民の健康・福祉に貢献することを目的として1981年に設立され、現在会員数は約8000名です。日本の脳神経外科学を発展させてきたすべての諸先輩と会員の皆様に敬意を表します。

脳神経外科医は、新生児から高齢の患者さんのために、手術をベースに、薬物療法・放射線治療はもちろん、脳疾患の予防から、心疾患・糖尿病などの全身疾患を診ています。何よりも意識障害・麻痺・認知症などのQOLの低下した患者さんとの対話を通して、人間の精神の根源に関する問題を常に意識しています。脳神経外科学は、エビデンスを重視するだけでなく、一人一人の患者さんに向き合い、積極的な外科治療からリハビリテーションや介護、心の問題など、医学の全ての問題を含んでいます。

第37回のテーマは「脳神経外科学の未来―20年後の日本と世界を見据えて-」にいたしました。日本は世界で最も高齢化がすすんでおり、日本の高齢化社会に対する対応が世界の国々にとっての重要なモデルになると考えます。脳血管疾患・癌・認知症などの様々な脳疾患に対する脳神経外科医の役割はますます高まると思います。一方で、脳神経疾患の予防策や薬物療法が進歩し、ニューロサイエンスの解明や様々な技術革新によって、脳神経外科の診療内容や、医療体制そのものが大きく変わるかもしれません。20年後には人工知能が人間の“脳力”を超えるといわれていますが、20年たっても我々脳神経外科医の前には病で苦しむ患者さんが常にいます。本会ではこれまでの脳神経外科学の発展と歴史を学びながら、10年・20年後の脳神経外科学の未来について考える機会になれば幸いです。

脳神経外科医は、他の診療科の医師よりも様々な死に向き合います。脳卒中や頭部外傷により突然の死を迎える患者さん・意思疎通もできない植物状態のあとに亡くなられる患者さん・悪性脳腫瘍や認知症によって、徐々に人間としての機能を失っていく患者さん・おさなくして亡くなるお子さんなど、患者さんご家族だけでなく、我々医師にとっても受け入れがたい死を迎えることも少なくありません。文化講演では、東京大学大学院人文社会系研究科名誉教授・上智大学グリーフケア研究所所長の島薗進先生をお招きし、「死とは何か」「日本人の死生観」といったテーマでご講演をお願いしています。先生のご講演により、多くの脳神経外科医が、死とは何か、日本人が死というものについてどう考えているかを改めて学ぶことができれば、さらによりよい治療もできるのではないかと考えています。

コングレス総会を開催するにあたり、あらためてほとんどすべての脳神経外科の関連学会に参加しました。どの領域も本当に奥が深く、脳神経外科学はおもしろい・脳神経外科医になってよかったとあらためて実感しました。まだまだ解決されていない様々な問題も多数あり、本会が少しでも疑問点の解決につながることを期待しています。

脳神経外科学の未来のために、第37回総会がすべての参加者の皆様にとって有意義となり、患者さんにとって真に有益な診療につながるよう、コングレスプログラム委員および国立がん研究センター脳脊髄腫瘍科一同鋭意努力を進めてまいります。会員の皆様方からの御提言・御指導のほどどうぞよろしくお願いいたします。第37回日本脳神経外科コングレス総会が会員の皆様にとって最新の知識や意見の交換の場となるよう、多くの皆様のご参会をお待ちしております。

平成28年5月23日
2016/2017日本脳神経外科コングレス会長
成田善孝